高齢者の新型コロナワクチン接種が進んでおり、64歳以下の一般の方向けの予防接種も近々始まる予定です。
さて、今回は乳幼児の予防接種についてです。
当院で赤ちゃんの予防接種を初めて受けられる方の中には、「えっ、予防接種って足に打つんですか?」と驚かれる方がいます。
そう、当院では1歳以下のお子さんの予防接種は足(太もも)に接種しています。
日本では、昔から赤ちゃんも含めて予防接種は腕に接種するのが一般的でした。
しかし、世界的には1歳以下のお子さんの予防接種は足(太もも)に接種するのが一般的です。
その理由は、腕に打つより足(太もも)に打ったほうが、
からです。
足(太もも)への接種にこんなにメリットがあるのに、なぜこれまで避けられてきたのでしょうか。
1960年〜1970年代に足(太もも)に抗生物質や鎮痛剤、栄養剤を繰り返し注射されたことで、お子さんの筋肉が動かなくなってしまったという事件がありました。
これは、足(太もも)に注射したことが原因ではなく、不必要な抗生物質や鎮痛剤、栄養剤を繰り返し注射したことが原因と判明しているのですが、足への注射が避けられていることと関係しているのではないかと思われます。
予防接種を足(太もも)に注射することの安全性は証明されており、世界的には1歳以下のお子さんの予防接種は足(太もも)に接種するのが一般的です。
日本でも、予防接種の種類が増え始めた2011年に日本小児科学会が足(太もも)への接種を積極的に推奨する声明を出しました。
そして、2012年から「予防接種ガイドライン」でも足(太もも)への接種が推奨されるようになりました。
当院でも「予防接種ガイドライン」に基づいて、1歳以下の赤ちゃんの予防接種は足(太もも)に接種しています。
足(太もも)に接種してももちろん痛いので赤ちゃんは泣いてしまいますが、腕に打つときと比べてすぐに泣き止んでくれる気がします。