2026年4月、妊婦を対象としたRSウイルスワクチン(アブリスボ)が定期接種となりました。
RSウイルスワクチン(アブリスボ)は、生まれて間もない赤ちゃんが重症化しやすいRSウイルス感染症を予防できるワクチンとして注目されています。
この記事では、RSウイルスとはどのような感染症か、RSウイルスワクチン(アブリスボ)の効果や副反応、接種の時期や注意点についてご説明します。
RSウイルスとは
RSウイルスは、鼻水や咳、発熱などのかぜ症状を起こす感染症です。2歳までにほぼすべてのお子さんが一度は感染するとされていますが、一度かかっても別のシーズンに繰り返しかかることがあります。
2歳以降のお子さんや大人はRSウイルスにかかってもかぜ症状ですむことが多いですが、特に生後6か月未満の赤ちゃんがかかると細気管支炎や肺炎を起こし、入院が必要になることもあります。RSウイルスが流行している時期には、病院の小児科に入院しているお子さんの多くがRSウイルス感染症であることもあります。
RSウイルスワクチン(アブリスボ)について
こうしたRSウイルスから、生まれて間もない赤ちゃんを守る方法のひとつが、妊婦に接種するRSウイルスワクチン(アブリスボ)です。このワクチンを接種することで妊婦の体の中でRSウイルスに対する抗体が作られ、その抗体が胎盤を通して赤ちゃんに移ることで、出生後しばらくの間、赤ちゃんをRSウイルス感染症から守ることが期待できます。
アブリスボは、米国や欧州では2023年から妊婦への使用が承認され、日本でも2024年に承認されました。そして、2026年4月から妊婦を対象としたRSウイルスワクチンとして定期接種の対象となりました。
RSウイルスワクチン(アブリスボ)の効果
RSウイルスワクチン(アブリスボ)を妊婦に接種することで、医療機関の受診が必要になったRSウイルス下気道感染症は、生後90日までで約57.1%、生後180日までで約51.3%予防したと報告されています。
また、重症のRSウイルス下気道感染症については、生後90日までで約81.8%、生後180日までで約69.4%予防したと報告されています。
つまり、全体として5~6割程度の予防効果、重症例については7~8割程度の予防効果が示されています。
生後6か月未満の赤ちゃんがRSウイルスにかかると重症化して入院が必要になることも少なくありません。そのため、RSウイルスの感染や重症化を予防できるという意味で、とても意義のあるワクチンといえます。
RSウイルスワクチン(アブリスボ)の接種タイミング
RSウイルスワクチン(アブリスボ)の定期接種の対象は、妊娠28週0日から妊娠36週6日まで、1回筋肉注射を行います。
接種後に妊婦の体の中で抗体が作られ、その抗体が赤ちゃんへ移るまでに時間が必要なため、十分な効果を期待するには出産の2週間前までに接種する必要があります。
そのため出産予定日を確認して、早めに接種のスケジュールを立てましょう。
RSウイルスワクチン(アブリスボ)の副反応
副反応としては、接種部位の痛み・腫れ・赤み、頭痛、筋肉痛などが知られています。多くは一時的で、数日で落ち着くことがほとんどです。まれに重いアレルギー反応が起こる可能性もあります。
ワクチン接種により妊娠高血圧症候群が増加傾向にあることが報告されていますが、まだ因果関係ははっきりしていません。妊娠高血圧症候群を指摘されたことがある方は、ワクチン接種についてかかりつけの産婦人科で相談されることをおすすめします。
ワクチン接種による早産や死産、低出生体重児、先天異常の増加は特に認められていません。
また、赤ちゃんへの副反応・出生後の影響についても現時点で大きな問題は報告されていません。
RSウイルスは風邪を起こすウイルスのひとつではありますが、特に生後6か月未満の赤ちゃんがかかると重症化しやすいウイルスです。
以前からRSウイルスワクチンの実用化が期待されていましたが、妊婦に接種するワクチンという形でようやく実現しました。
生まれてくる赤ちゃんをRSウイルスから守るため、RSウイルスワクチンの接種をぜひ検討してみてください。
当院でも、妊婦を対象としたRSウイルスワクチン(アブリスボ)の接種を行っています。
妊娠週数や出産予定日の確認が必要になるため、接種をご希望の方は母子手帳をご用意のうえ、お電話または受付にてご予約をお願いいたします。
参考資料